【プラチナの指輪】



「あっ……」

事務所へ向かう途中、ショーウインドウに映った自分の姿を見て如月千早は足を止めた。

そして、覗き込むように顔、髪、服装の順番に全身を隈なくチェックしていく。

元々、ビジュアルを気にするようなタイプではなかったが、アイドルとしてデビューしてから、彼女は少しずつ変わり始めた。

最近では以前なら絶対に持ち歩かなかった簡易の化粧ポーチも持ち歩くようになっている。

「よしっ!」

鏡に映った自分に満足したのか、千早は腕を組み「うんうん」と頷いている。

その右手の薬指にはプラチナの指輪がはめられていた。

先日、プロデューサーが個人的にプレゼントをしたいと言ったので、お願いして買ってもらったものだ。

余程お気に入りなのか、千早は右手をショーウインドウの前に持っていき、映ったそれを手を表裏に回しては何度も見ている。

「ふふっ」

はにかんだその表情は以前あった近寄りがたさはなくなっており、普通の女の子のようになっていた。

しかし、それもすぐに引っ込み真剣な顔をして周囲を見回し始める。

そして何を思ったのか

「少しだけなら、いいよね?」

ゆっくりと指輪を右手から外し――


Trrrrrr


「きゃっ!」

突然鳴った携帯の着信音に驚き、千早は慌てて指輪をはめ、電話に出る。

「も、もしもし?」

「もしもし。 千早か?」

「プ、プロデューサー!?」

「今、どこにいるんだ? もう集合時間ギリギリだけど……」

「えっ!? もうそんな時間ですか!?」

どうやら鏡に映った自分をチェックしている間に事務所に行く時間を過ぎてしまっていたらしい。

「千早が集合時間に遅れるなんて今までないことだからちょっと心配になってな」

「すいません、ご心配をおかけしてしまって……」

「何かあったのか? 珍しく寝坊か?」

「いえ、寝坊ではなく、ちょっと見惚れてて……」

「はっ? 見惚れて?」

「〜〜っ!!」

「千早?」

「な、何でもありません! すぐに向かいますから、少し待っててください!!」

言うつもりのなかった言葉を思わず口に出してしまったらしく、千早は慌てて電話を切り、事務所に向かって走り出す。

その左手の薬指にはプロデューサーから貰ったプラチナの指輪が光輝いていた。

FIN


 ニコマス見始めたばかりですが、この千早かわいすぎる!!

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 おもわず口元が綻んでしまった!

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 あまーい^^!千早をテーマにこの甘さ、大好物です。

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 きっとそういう瞬間から恋が始まって、恋を意識することで、女の子はより女の子らしくなっていく。時にゆっくりと、時に周囲をあっと言わせるほどのスピードで。彼女がせがんだ指輪は、女性としての幸せの第一歩なのかもね。でも、左手の薬指は憶測を呼んじゃうぞ、気をつけろ!w コミカルで微笑ましい千早が素敵でした!

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 これはかわいい。やっていて欲しい

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 B千早。ある日の7を経過した犬千早の尻尾が見えるようです。帽子をかぶるとか、変装をするような描写があったら、高ランクアイドルの重みとかも出るのかなあとか無責任なことを思いました。

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 千早可愛いよ千早。あー、確かに一人でやってそう……と、存分にニヤニヤできました。ご馳走様です。

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 ファッションの本質は、それを身に着ける女性の魅力をより引き立てることだと僕は考えています。このSSの千早であれば、おそらく指輪も非常に映えるのではないでしょうか。青春と恋。これほど女性を美しく輝かせるものは無いでしょう。

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 如月千早がまるで年頃の少女のようだ!なコミュを使った作品ですね。元ネタですらキャラを投げ捨てたような乙女っぷりに悶えたのに、まさか更に発展させるとは。砂糖を吐くかと思いました。

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 やっぱり年頃の女の子には憧れなんでしょうね。千早の乙女心がよく出ていると思います。

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 あまーーーーーーーーーーい!!

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 恐らく指輪をもらってからまだそんなに日がたっていないのでしょうね。「青春」というよりは「常春」といった感じの千早が微笑ましかったです。

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 ベッタベタなネタなんですけど、敢えて言います。あまーい!!!

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 ほのぼのと読んでしまいましたが、冷静になるとラストシーンがパパラッチされてないかが気になりますw

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 シンプルで読みやすく、それでいて話の内容もしっかりとしていた。面白かったです



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